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傘という物
2003年 07月 26日 (土) 16:34 | 編集
ごくごく私的な見解ですが、この先どんなに文明が発達しても、
傘という物は形が変わらないのではないかと、降り止まぬ雨にぼんやり思うことがあります。
シンプルながらあまりに完成されていて、
どうにも他の形が思い浮かばない物のひとつだと思うのですが、いかがでしょう。

なんて、鉄腕アトムが約40年も前に人口知能などを描いていたのに対し、
ダイアル式の黒電話が登場してたりするように、
身近な物ほど変貌が予測できないとも言いますので、
何年か先、私的見解は想像を越えた形で覆されるかもしれません。
それはそれで楽しみですが。

傘の歴史は古く、約4000年ほど前には開閉式ではないものの、
尊い身分の人を日差しから守る日傘として使われていたということが知られています。
日本へは6世紀、仏教の伝来とともに百済国よりの献上品として傘があったといいますが、
それから時を経て平安時代には蛇の目傘の原型にほぼ近い、
開閉式の傘が登場しています。

花札というと賭博のイメージが付きまといますが、その花札に、
傘を差して柳に飛びつく蛙を見つめる、平安期の三跡の一人(書の名人)、
「小野東風」が描かれています。
努力の人、小野東風が、何度も柳に立ち向かって行く蛙を見て、
「何事も努力を重ねればいつかは成し得る」という例えを得るという図案ですが、
差している傘はやはり現在の形に近い物です。

ヨーロッパなどでも相前後して開閉式の傘が広がった
(といってもやはり一部の高貴な身分の人々の間)、
ということですが、現代のように情報網が発達していない時代、
別々のルートで広がってもある時期に同じようなタイミングで劇的に変化するという、
種の変異にも似た不思議な共時性をここにも感じます。(大袈裟!?)

話が大きくなってしまいましたが、長引く梅雨に傘の忘れ物もすごいことになっていると思われ、
きっとその大半はビニール傘なのではないかと。

ビニール傘嫌いのひとりとしては、装いに合わせて傘もしっかりコーディネイトすれば、
忘れることはないと密かに自認しているのでありますが、、、
しかし、お気に入りの傘を過去に何本なくしたことか・・・。
傍目八目(おかめはちもく)
2003年 07月 12日 (土) 16:30 | 編集
さて、先日、キャサリン・ヘプバーンの話題から、
くちなしの話題になりましたが、くちなしに関する話題をもうひとつ。

時々小説などで目にする言葉で、傍目八目(おかめはちもく)という言葉がありますが、
これは、囲碁は対局をしている当人より、
傍目(はため)で眺めている者の方が、八目も先まで手が読めるものだという意味なのだそうで、
転じて、当事者より第三者の方が客観的に物事を見通せるものだという例えです。

そんな訳ですから、囲碁や将棋を囲む外野はついムズムズして口出ししたくなりますが、
それはご法度、勝負は厳粛な世界です。
それを戒める意味で碁盤・将棋盤の足には「四方口無し」といって、
”くちなし”の実を模ったコロンとした足が付いているのです。

くちなしには一重と八重があり、八重は実を結びませんが、
一重の実はお漬物の沢庵や、きんとんを黄色く染める着色料の元になります。
熟しても実が開かないことからくちなしと呼ばれるようになったとの説があります。

ピンクハウスのプリントに話しを繋げるには、
あまりロマンティックとは言えない話ですが、ちょっと「なるほど」感がありましたので、
触れてみました。
キャサリン・ヘプバーン
2003年 07月 11日 (金) 16:27 | 編集
お客様からのメールに、お庭のくちなしの花が咲きましたという言葉が添えてあり、
くちなしからはインゲボルグと映画「旅情」を連想しますね、
などというやり取りをしたばかりのところにキャサリン・ヘプバーンの訃報を聞きました。

かなり以前、このコーナーでキャサリン・へップバーン主演の『旅情』について
書いたことがありましたが、1955年に作られたこの映画、
ちょっとトウの立ったハイミスOLの感傷的な一人旅・・・と、
こうして書いてしまうと実もフタもありませんが、ヴェニスを舞台にしたこの作品、
前回は年齢を重ねた首やデコルテを、襟を立てたりスカーフを巻くことでさりげなくカバーする、
キャサリン自身の着こなしの美しさについて触れました。

ファッションはもちろんですが、冒頭で彼女が持っている旅行用の大きさ違いのいくつもの
トランクなど、「旅情」はインゲボルグの原点とも言える映画なのです。
何度観ても随所に新鮮な発見があります。
そして、インゲボルグを象徴する花、くちなしのはこの映画では重要なモチーフとして登場します。

世界一の投げキッスといわれたラストシーンでは、
イタリア語で「アリベデルチ」と、それこそ身を乗り出すようにして叫びながら、
スッと伸ばした手を大きく振る彼女。
潔いキャサリンの人生と重なって映るかのようです。

普段の彼女はパンツスタイルが多かったそうですが、
クラス感のあるカジュアルのお手本のような女性です。
年齢を重ねることを厭わず、最後まで現役だった女性。

今回はピンクハウスの店頭にくちなしが登場します。
チャーミングだった往年の大女優の姿を思い起こしてしまいました。
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